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「六ヶ所村ラプソディー」の世界  -- 鎌仲ひとみ (映画「六ヶ所村ラプソディ」 監督)


 六ヶ所村に2004年から二年間通って映画を撮りました。六ヶ所村と言っても聞いたこともない人が多いんじゃないかしら?でも私たち全ての日本人にとっても関係が深い場所なんです。だって電気を使わない生活をしている人はいませんから。私たちが使う電気のごみ、つまり使用済み核燃料が日本中から六ヶ所に運ばれているのです。使用済み核燃料は原子力発電所の中で燃えたウランの燃えカスです。これはどういうものかというと、ウランはもちろん放射性物質で厳重に管理されなければならないものですが、それが燃えると、それまでになかった様々な放射性物質に変化します。結果として放射能の毒性が1億倍も高くなってしまうんです。

 六ヶ所では再処理工場でこの使用済み核燃料を溶かして、中からプルトニウムを取り出す作業をします。これはとっても難しい技術でしかもどうしても放射能が空気や液体で出てしまいます。年間経口致死量で4万7千人分だと工場側も認めています。大気に放出されれば日本の北半分が汚染されるに48時間しかかかりませんし、海に放出されれば海流で岩手、宮城、福島、千葉まで到達すると言われています。私たちの環境を破壊する工場なんです。でも私が映画を作っていた間もマスメディアは決してこの危険を訴えることをしませんでした。今もそうです。六ヶ所のニュースはとっても少ないんです。工場はもう完成して、この3月31日から本格試験を始めました。だから微量とはいえ、放射性物質の放出が始まっているのです。

 
 私はイラクに行って白血病やがんの子ども達に出会いました。私が出会った子ども達のほとんどはもう生きてはいません。これは湾岸戦争やイラク戦争で劣化ウラン弾という兵器が使われた影響だと考えられています。もちろんアメリカはそんなことはないと言ってますけど。この劣化ウラン弾の材料はやはり原発から出てくるんです。

 私たちが当たり前のように電気を使って豊かで便利な生活をしている影で知らぬ間に命を奪う事態が進行しています。

 六ヶ所で映画を撮ろうと思ったのは、私自身がこの加害の構造からどうやって抜け出すことができるか考えたかったからです。原発を使って電気を起こすことでどうしようもない核廃棄物が生み出されてくる。また再処理すれば私たち自身が汚染を被ることになる。

 はたからみていると原発はクリーンで未来的なエネルギーでCO2も出さないと宣伝されています。このことを信じて私には関係ないや、と大多数の人々が思っているのです。大量に電気を作ることができる、それは事実です。その光の部分に対して影の部分を今こそ見なければいけないんじゃないかしら?

 いろんな影の部分をまず人々が知らない。そしてさらに知っていてもそれを変えることができないと思っている。これが最も大きな問題です。「六ヶ所村ラプソディー」は普通の権力もお金もない人が、じゃあどうしたらいいのかを考える映画です。

 2年間六ヶ所村に通って、原子力産業、ひいては村に建設された巨大な各施設と生きる人々を賛成も反対もなく等しく撮ることにエネルギーを注ぎました。賛成している人々の声がく聞こえてこないからこそ、その人達の思いや考えを知りたかったのです。取材は進んでも長い間、賛成する側の誰一人として私の取材に応じてくれませんでした。でもついに勇気ある人達が語ってくれました。それは、本当に切ない物語です。自分達にとって危険であり、同時に生活を支えるものとなった「核」をどうとらえるのか、という問題なのです。

 日本中のただただ電気を使い、その廃棄物に関して責任を取っていない全ての人々のつけが六ヶ所に集中しています。これまで賛成、反対と断絶されてきた村人もまた同じ未来を共有しています。その未来はそのまま日本全体の未来でもあるのです。

 初めて、六ヶ所村を訪れた時、その風景の美しさに息を呑みました。豊かな自然の恵みを堪能し、村人の暖かい人情にも触れることができました。この二年間、村に汚染はありませんでした。これから本格的に始まってゆくのです。その汚染から逃れることは私たちもできません。

 命を奪わない電気の作り方は、実は沢山あるのです。また私たちの暮らしそのものも見直しが必要じゃないのかな?時代はエネルギーの変革を望んでいるはずです。様々な村人が生きるその選択を映画で観て、どうぞ一緒に考えて下さい。一言付け加えると、プルトニウムを作ってもお金が莫大にかかるだけで使い道がないんです。これは確かです。不思議なミステリーのような話なんです。

CHECK!!

  映画 六ヶ所村ラプソディー
     http://www.rokkasho-rhapsody.com/

  オフィシャルブログ
     http://ameblo.jp/rokkasho/

■鎌仲さんに関する問い合わせは...
   グループ現代 担当:巌本(いわもと)Tel:03-3341-2863 Fax:03-3341-2874
   E-mail:distribution@g-gendai.co.jp
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